ザラ・イマエワ横浜講演

午後2時に横浜のランドマークタワーへ。
アムネスティ・インターナショナルが主催した
チェチェンのジャーナリスト・ザラ・イマエワさんの講演と
映画上映「子どもの物語にあらず」だ。
いつもの顔ぶれがみんな来ていた。
講演後、ザラは私のところに駆け寄ってきていった。

「どうだった?」
「よかったですよ。仰ったことはすべて真実です」
「本当はもっといいたいことがあったのよ。
でも、アムネスティから、政治的な発言はしないでと頼まれたの」

なるほど。
確かに、今日のザラの話は政治的な主張もなかったし、
宗教色もほとんどゼロに近かった。

「仕方がないですよ。
私たちが話すときのように、『ジハード』なんて言葉を使ったりすると、
それだけで彼らは『テロを肯定した』と早とちりするんですから。
日本人は本当にイスラムに対する知識水準が低いんです」
「そうね。
まず私たちは、子どもたちがどんな目に遭っているかといった、
文化の違う世界でも共通の感じ方をする話をして、
基本的な共感を得るしかないわね。
文化の異なった部分を理解してもらった上でないと、
それ以上のことは分かってもらえないけど、今この場では無理。
本当は、もっともっと本質を追及したスピーチ原稿も用意していたのよ」

確かにザラには、あまりにも時間がない。
ずっと日本にいる私が、彼女が今日話せなかったことを
本当は話したり書いたりしてゆくべきなのだと思う。

日本でもっとも優れたジャーナリストの一人で、
特に中東情勢に掛けては右に出るもののない広河隆一さんでさえ、
イスラムに関することについては、先日の講演で
呆れるほどバカバカしい間違いを気がつかずに話していた。

他の有象無象の業者にいたってはいわんやお話にならない。
せめて一度でもコーランの日本語訳を読んでから
なんなりと語ってくれればいいのだけど、そんな常識はなぜか通らない。

講演後、中華街で会食。
モスレムのイマエワ母子と私に配慮して、
中華料理から豚の成分を排除するという難しい注文。
苦労の甲斐あって、ザラは美味しいと喜んでいた。

チェチェン・日本間のスポーツ交流の話を進めた。
うまくゆくといいなあ。