広河さんのイラク報道論 (再掲・その1)

私は日本・欧米のほとんどの「ジャーナリスト」をバカにしきっているが、
尊敬している数少ないジャーナリストの一人、広河隆一さんが
イラク戦争取材を振り返っている。(↓)
http://www.hiropress.net/2003/archive/c030614.php

やはり広河さんは、パレスチナホテルに隠れていた
「プレスツアー・ジャーナリスト」を批判されている。
広河さんと私とは、完全に一致しているわけではない。
広河さんらはパレスチナホテルが砲撃されたとき非難声明を発したが、
私は「あと100人ぐらい死んだ方がいいんじゃない?」としらけていた。

広河さんは、日本には
「すぐれた写真を撮るフォトジャーナリストは存在する。
しかし発表するメディアがない。」
とおっしゃる。が、そうかしらんと私は思う。逆じゃないかなあ。
昨日店頭に出た「SIGHT」(ROCKIN’ON)という雑誌を
手にとって見て欲しい。
http://www.rock-net.jp/sight/
あるいは、私もこれまで二度フォトドキュメントを担当した
PLAYBOY日本版」(集英社)を。
http://m-playboy.shueisha.co.jp/

SIGHTは優れた戦争写真を多数掲載しているが、
これらは国内のフリーランスの作品ではなく、
すべて海外の通信社から買い取ったものだ。
記事の方は、国内の先鋭的な知識人の寄稿で構成されており、
本来、欧米の大手メディアの写真を敢えて使う理由はない。
なぜこうなったかというと、つまりSIGHTの一歩進んだ記事に見合うだけの
「すぐれた写真を撮るフォトジャーナリスト」が
国内に見当たらなかったわけだ。
質の低い国内の写真家を廃し、欧米の写真を使うことで、
SIGHTはむしろ雑誌の質を高めている。
ひどい皮肉ではあるけれども、事実だからしょうがない。(その2へ)