広河さんのイラク報道論 (再掲・その2)

広河さんは「定期購読者が 8,000 人もいたら、問題なく発刊できる」
といっているけれど、
わずか8000部、しかも初めから決まった定期購読者を相手に報道することに
どんな意味があるのかなあ。
定期購読者を相手にものを書くのはとても簡単だ。
彼らは最初から読んでくれる前提の読者層なのだから。
多くは初めから、例えばイラク戦争パレスチナ紛争に関心があり、
初めから「こういう結論の記事が読みたい」というものが決まっている。
そういう人たちだけを相手に報道活動を行うのは、独り善がりだと思うし、
無意味だ。
もっとはっきりいうと、週刊金曜日という雑誌は
広告収入に頼らないという点はすごいと思うけど、
初めから思想傾向が決まっていて、多様な意見を取り上げず、
特定の思想を持った人たちの慰め合いの場所になっている現状では
報道としての存在意義はないと思う。
それは政治団体機関誌の役割だもの。

SIGHTはロック音楽雑誌ROCKIN'ONの「増刊号」というタテマエだ。
中の記事も、特集こそ「戦争に勝って、すべてに負けたアメリカ」
というタイトルだが、他にもレッド・ツェッペリンやマドンナの
インタヴュー、ポートレートなどを掲載している。
普段からパレスチナのことばかり考えている人たちではなく、
音楽を楽しみたい人たちにも、とくに若者になにかを伝えたい
という意思が見える。
あるいは、PLAYBOYのように、米国文化の象徴たる雑誌で、
ギャルギャルのハダカを見たいどこにでもいる男たちに
厳然たるファクトを突きつける雑誌の持つ意味は大きいと思う。

少なくとも私は、少数の限られた活動家に向けて
記事を書いているわけではない。
政治活動なんかと縁のない、どちらかというと、
どう行動していいやら分からない、引きこもりの私みたいな
おびただしい現代の人たちに向けて記事を書いてるつもり。

それからすると、わかり易いでしょう?
公開恋愛もここに書かなければいけない理由が。