隠さざる意思(その2)

私を同行させたことは、ハムザートの判断ミスだったのではないか、
とも私は考えた。
そうでないと知ったのは、つい一昨日のことだ。
グルジア・パンキシ渓谷からカフカスを越えてチェチェンへ向かう作戦に、
英国フロントラインのジャーナリストR・J・スコット氏を
同行させていたことが分かったからだ。
パンキシ渓谷からチェチェン勢力が越境していることは
グルジア政府もチェチェン勢力も公式には隠し続けている軍事機密だった。
私を同行させたことを失敗だったとして後悔しているなら、
スコット氏を同じような機密性の高い作戦に同行させるはずがない。

ハワジの件が問題化したとき、ウェブ上の画像の削除を
グルジア外務省と彼らに唆された自称ジャーナリストが迫ってきたが、
画像の主であるチェチェン人たちは、独立派当局も、イスラム聖戦士一人一人も、
電話やメールで雑談をしはしても、誰一人として異議を唱えなかった。
あの画像に誰よりも利害関係を持っているのは、チェチェン当局のはずなのに。

http://groups.msn.com/ChechenWatch/page12.msnw
ハムザートと協調しているアフメド・ザカエフ・チェチェン大統領特別代表は
ノヴァヤ・ガゼータ紙とのインタヴューで答えている。
マスハドフも私も、国際法廷に出頭して、
 チェチェンで起こった事への自分たちの責任について
 裁きを受ける覚悟でいる」(翻訳・渡辺千明氏)

不運にもスコット氏は殉職し、作戦の詳細は欧米メディアには伝わらないだろう。
しかし、彼を同行したことでハムザートの意思は伝わった。
彼はやはり、彼自身の過ちも含め、なにも隠すつもりがないのだ。