服装考

大人の男が短パンをはいて歩いている姿がどうしても醜く見えて仕方がない。
年輩の米国人に多く、欧州人には少ない。
私は絶対にそんな格好はしない。
中東人もそんな格好はしない。
他人が着る分には構わないが、自分では着たくないのがポロシャツだ。
なぜそうなのかはうまく説明できない。
Tシャツも、本当は着たくないが、暑いので仕方なく着ている。
できれば、襟とボタンがあって、袖の長いシャツをいつも着ていたい。
そして、しっかりした上着をいつも羽織っていたい。
日本ではそんな服装でいられる季節は限られているから、
本当はモスクワあたりに気候が一番肌に合っている。
一方で、ネクタイや、サラリーマン風のスーツは嫌いだ。
やはり自分のメンタリティは、イスラム世界に向いているのかも知れない。

ブルカは、いいか悪いかは別として、カブールによく似合っていると思う。
青いブルカの女が彷徨うカブールは美しい。
カブールにはブルカの女がいなくてはと思う。
パッコールを被ったタジク人も、黒いルンギーを巻いたタリバンも美しいと思う。
シャルワールカミースの裾を風になびかせ、
パトゥーを翻して歩く彼らほど美しい男たちを私はかつて他に知らなかった。
しかし、制服を着て、ヘルメットと盾で武装した、
新設アフガニスタン国軍は実に醜い。
以前、タイタニックという映画が流行ったとき、
カブールでディカプリオ・カットが流行し、
タリバンが取り締まったというニュースが流れたことがあったけれど、
アフガン人がディカプリオ・カットだなんて、言語道断だ、
鞭打ち刑が相当だと心情的にはタリバンに共感する。
それは醜すぎる。

帰国後間もない頃、着るものがなくて、
町中で迷彩の軍用コートを着ていたりしたけれど、
本当は迷彩パターンは実に醜いと思う。
若者がファッションで取り入れるセンスをひどいものだと内心思っている。
大流行した厚底サンダルも、ひどいセンスだと内心ずっと思っていた。
そもそも、フォルムを完全に無視しているではないか。
最近膝下丈の女性のパンツが流行っているが、これはフォルム上、悪くない。
でも、洗練されているともいえない気がする。
だって、中国や東南アジアでは着古されたデザインだ。

そんな調子で、私は独断と偏見の美的感覚に従って生きているんですわ。