おれさまの観た「NHKスペシャルの観たチェチェン」

ツネギャル・ヨーコ氏が「NHKのドキュメント・ロシアをやってるよ」
と連絡をくれて助かった。
10日前にNHKで放送された「NHKスペシャル」の再放送だった。
旧ソ連諜報機関KGBと、その後継機関FSBのエージェントだったプーチン
どのようにしてソ連崩壊後の権力の階段を登りつめていったかを描いた
ドキュメンタリーだ。
チェチェンの外国人司令官ハターブについて、
「アルカーイダから送り込まれた」とナレーションしていた。
正確には、ハターブは送り込まれたのではなく、
自分の意志で、しかも自分の身分を「ヨルダンのジャーナリスト」
と偽ってチェチェンを訪れたのだ。
ハターブがビンラディン氏と親交があることは知られているが、
ビンラディン氏の命令や指示を受ける立場にはない。
そのハターブの挑戦的なインタヴューの場面に続けて、
番組はモスクワなどで続いた無差別アパート爆破事件を映し出した。
ナレーションは無言だった。
モンタージュで、関連性を暗示する映像の手法だ。
つまり、映像文法上これは、「ハターブが事件を起こした」と
視聴者に思い込ませようとする意味がある。
実際には、連続爆破事件とチェチェン勢力の関連を示す証拠は
一つも発見されなかった。
ナレーションは「ロシアの諜報機関FSBは事件の捜査に全力を挙げた」と語った。
これは、全くの嘘だ。
事件の現場は数日後にはブルドーザーで更地にされ、
さらに数日後、FSBはなぜか捜査を打ち切ってしまった。
逆に、リャザンなどで未遂に終わった同様の事件があり、
このとき、FSBは「訓練のつもりで仕掛けた」と自ら発表し、
これまでの事件が自作自演であった可能性を世間に強く疑われた。
しかし、これらの事実について番組は一切触れなかった。
大統領プーチンと、出身母体FSBの関わりが
番組のメイン・テーマであるにも拘わらずだ。
第二次チェチェン戦争が始まって間もなく、
自由ラジオのアンドレイ・バビツキー記者が
FSBの関与が強く疑われる誘拐事件に巻き込まれたことも、
アパート連続爆破へのFSB関与を調査し、プーチン批判を強めていた
ヴェルシア紙のアルチョム・ボロビック記者が
不審な飛行機事故で親チェチェンの実業家と共に死亡したことも触れなかった。
そんな話の一端でも書いてしまったら、次から取材させてもらえないのかな。
まあ、これがあの番組の描かれなかった真相です。
続きは24日だそうだ。