夢を見る

朝、夢を見た。
イングーシで寝食を共にしたチェチェン難民の子どもたちが現れた。
スレプツォーフスクの避難先の家できれいな服を着て、
いつも笑いふざけ合っていた子どもたちが、
夢の中ではなぜか崩れかけたアパートから出てきて、ぼろぼろの服を着て、
日に灼けて皺だらけの憔悴した顔をしていた。

「みんなどうしてる?無事か?」と私は聞いた。
「ムサが、シャミルのことを敵だって。殺すんだって」とタミラがいった。
「大丈夫。ムサはおれを殺さない。おれもムサを殺さないことにするから、
 心配しないで」と私はいった。

本当は、ムサはイングーシではなく、パンキシ渓谷に住んでいるから、
この子たちはムサのことも、ムサと私が敵対したことも知らない。

ポケットになぜかキャンディーが入っていた。
それをタミラとユーニの手に握らせようとすると、
一個か二個しかないはずのキャンディーは、あとからあとから出てきた。