アジアプレス動乱

フリー・ジャーナリストの同盟と協力は
ぜひとも必要なものだと思う。
現実には、フリーランスは互いに市場を潰し合っている。
支え合って、市場を維持し、
健全なジャーナリズムを生き残らせなければ。
そういう意味で、アジアプレスという組織には
存在意義があると思っていた。
しかし、仮に今優秀な新人ジャーナリストが知り合いにいて、
(実際にいるのだが)
協力できる仲間を探していたとしても、
私は今のアジアプレスを紹介できない。
紹介したところで、彼或いは彼女には
なんの役にも立たないであろうからだ。

それに、MMさんが受けた仕打ちがある。
彼女は大学を出て、他のメディアを捨てて、
アジアプレスに正社員として就職したにも関わらず、
4月分の半分だけの給料しか支払われないまま、
一方的に首を切られたのだ。
どこにも行くところのない彼女がそのまま
アジアプレスにいることを、
野中氏は「本人が好きでいる」とまで言い切った。
誰かを紹介したとしても、
彼、または彼女が、同じような目に遭ったとしたら?

私自身にとっても、今のアジアプレスは
自分の活動の妨げになりはすれ、メリットにはならない。
アジアプレスにとっても、私はみんなの役に立てない。
私は今まで通り、現場に居続けることを
最大の課題とするし、
アジアプレスは既成のメディアを離れて、
インターネットの分野でベンチャーを目指す。

今日、アジアプレスで開かれたミーティングで、
野中さん他出席者みんなを前に
そう言ってアジアプレスを批判したが、猛反発を食った。
「なんでも、思っていることを言う場を設けよう」
という趣旨で開いたミーティングだと聞いていたので
発言したのだが、
私以外に誰一人、何一つ、
アジアプレスの欠点について述べたものはいなかった。

私はアジアプレスを脱退せざるを得ないだろう。
問題は、どんな形で離れて行くかだ。
メンバーのみんなは好きだ。
できる限り、どんな協力でもしたい。

私は野中さんのやろうとしているベンチャー
決してうまく行かないだろうと思っている。
インターネット業界をあまりにも理解していないからだ。
世代遅れで的外れな事業を打ち上げようとしている。
失敗が明らかになった後、
いずれアジアプレスは原点に立ちかえらざるを得なくなるだろう。
今は彼らと協力できることがないが、
その時、再び一緒にやれたらいい。