バイクのキー

バイクが壊れたと書いたのは、実はバイク本体ではなく、バイクのキーで
した。
ハンドルロックの鍵穴にキーを挿したまま、ロック解除状態でハンドルを操作
したところ、シャフトとキーが干渉して、ハンドルのテコの原理で、キーは
あっさりとぐんにゃり曲がってしまったのです。
キーの再生は不可能だと思っていたので、バイク屋さんで4ヶ所のキードラム
ごと交換するしかないと悲観していたのですが、昨日、家を這い出したぼくは
ダメ元で駅前の鍵屋さんに相談してみました。店すら構えてない、スタンド
一つで露店営業しているところです。
初老の鍵屋さんは「U」の字型に折れ曲がったキーを睨んで唸っていました
が、ついに「時間をください」と、おっしゃってくださいました。
それから、鍵屋さんは本当に努力してくださいました。
まず、折れたキーから折れる前の状態を推測して、独自のキーを作って
くださったのですが、これは鍵穴に入りもしませんでした。
続いて、ぼくが鍵屋さんまでバイクを押していって預かってもらいました。
鍵屋さんは4つのドラムの鍵穴を覗いて、それぞれの特徴を観察して
いました。
午後8時頃、「できましたよ」と、電話がかかってきました。
完璧に動作する新しいキーができていました。職人技とはこのことです。
おかげで、数日ぶりにバイクに乗ることができました。嬉しすぎて、
ガソリンがなくなっていることに気づかず、途中一キロほど、ガソリン
スタンドまで押して歩く羽目になりましたけど。