マスードかく語りき

イラク戦争での米国の失敗(=敗戦)が決定的になりつつあるが、
アフガニスタンでも米欧とその傀儡政権は失敗を決定的にしつつある。
タリバンは勢力を盛り返し、NATO軍は包囲された格好になっている。
去年、パキスタンでお世話になった督永さんが「アフガニスタンはまた、
めちゃくちゃになるよ」と、予言していらっしゃったが、
的中してしまった。
カルザイムシャラフは責任の押し付け合い合戦中だそうだ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070501-00000000-mai-int
米軍がアフガニスタンに侵攻したとき、ぼくはチェチェン部隊と一緒に
いて、そちらをカバーできなかった。
頭にあったのは、98年にアハマド・シャー・マスードが語っていたこと
だった。
「なぜイスラム教徒同士で戦争を続けるのか?」という、ぼくの
質問に対して、タハールのタロカンで彼はいった。
イスラム教徒同士は戦争をしてはならない。それはよく分かっている。
だが、クルアーンにはまた、『人間は自分の身を守らねばならない』
ともある。だから、私たちは防衛の戦いを続けている。
タリバンが交渉の席に着けば、私たちの戦いは終わる。私たちは
奪われた国土を取り戻すためには戦う。しかし、カンダハルに攻め入る
つもりはないのだ。なぜなら、カンダハルをはじめ、アフガニスタン
南部がタリバンとその支持者の故地だと知っているからだ。
クルアーンにあるとおり、私たちは決して侵略者にはならない」

マスードは米軍侵攻直前に暗殺されたから、ぼくは北部同盟が当時の
マスードの意志を引き継ぐかどうかを見守っていた。結果、そんな意志は
まったく継承されなかったようで、北部同盟勢力は躊躇せず、米軍とともに
南部になだれ込んだ。そして、占領・支配してしまった。

今、アフガニスタンで戦争が続いているのは南部だ。こうなることは、
少なくともマスードには分かっていたのだ。彼は侵略に対してアフガン人が
決して抵抗をやめないということを誰よりもよく知っていた。