世界11月号

今日発売の「世界」11月号(岩波書店)P45〜50に、アフメド・ザカーエフ
「ベスラン事件の衝撃とロシア・チェチェンの今後」という
インタヴュー記事が掲載されました。
(参照→ http://www.iwanami.co.jp/sekai/
聞き手は常岡浩介/山口花能/岡田一男の連名となっていますが、
ほとんど岡田一男氏の功績です。
7月にチェチェン独立派スポークスマンのザカエフ文化相に話を聞いてから、
発表先を見つけられず困り果てていたところに、北オセチア学校占拠事件が
起き、図らずもザカエフの顔を潰さずに済みました。
まとまった形で彼の発言が日本のメディアに紹介されるのは
初めてだと思います。
よろしくお願いたします。

同じ号のP33〜44には池上薫というロシア研究家の「ロシアの『9・11』」
という分析記事が掲載されていますが、こちらは、別の意味でお薦めです。
「ロシアンスクール」とはどういうものか、を分かりやすく理解する
格好のテキストとなっています。
それでも、ここまでプーチンを礼賛しきっているケースは珍しいかも。
昨日、岡田さんと電話で話しながら頭を抱えたのですが、日本でロシアに
関わって仕事をしている人や、ロシアを研究している人たちというのは、
例えば米国経済を研究している人たちに比べるとマニアックで、
「おたく」な人が多い気がします。
その結果、ロシアには詳しいけれど、他のことを知らない、
客観性がまったくない、という人が異常に多い気がします。
具体的にいうと、たとえばチェチェン戦争を語るのに、
「ロシアに詳しい」だけでは話にならないわけです。
ロシアで語られているチェチェン像というのは、当然のことながら、
とんでもなく歪んでいます。
チェチェンに絡む「イスラム観」も同じくです。
戦争の相手方のことですから、これはある程度仕方がないことで、
私たちが他国民を非難する資格はないと思います。
しかし問題は、ロシア・チェチェンの問題に客観的であっていいはずの
日本人学者が、ロシアの見方に乗せられてしまうことです。
客観性を失った「ロシアおたく」の人たちは、ロシアで出版されている
御用学者の論文や新聞・雑誌の記事と同じ見方で、チェチェン民族や
ワッハーブ派」や「原理主義」を定義して観てしまいます。
私や岡田さんがこれを見ると、「世も末」な珍説のオン・パレード
となるのも当然でしょう。