デンパなセンセイ方

メディアというものは商売だから、事実を面白おかしく脚色して語るのも、
資本主義の原理からいって仕方がないけれど、学者というのは
科学と理性の立場に立つのだから、冷静なのだと思い込んでいた。
アジア経済研究所の酒井啓子さんとイラク邦人人質事件を語る
テレビのスタジオでご一緒したとき、彼女がテレビカメラに向かって
「犯行グループは外国人です」と、断言していたので、
ものすごく意外だった。

そんなわけないだろう。そんな大法螺を吹いてもいいのか?
でも、あの酒井啓子さんのことだから、実はすべて計算ずくで、
一見バカっぽい発言をわざとしておいて、何かすごい裏の意味が
あるのかも知れないし…

裏の意味なぞなかった。

昨日、フジテレビのニュースに静岡県立大の宮田律教授が出演して、
ロシアの航空機連続墜落事件について、チェチェン独立派のテロと
断定していたそうだ。

こちらはあんまり躊躇することもなくはっきりいえる。

バカ丸出し。

私がフリーとしてデヴューしたばかりの頃、アフガニスタンのルポを
NHKのBS-1のニュース特集枠で発表した。
このとき、私のルポをスタジオで解説したのが宮田助教授(当時)だった。
この頃はまだ、宮田さんも冷静だったと思うのだが、911事件をきっかけに、
テレビで引っ張りだこになった頃から、どんどんデンパ系になっていった。
宮田さんはイスラム研究を専門にしていながら、アラビア語すら
ご存じなく、フィールドワークを重視する現場主義でもない。
ただ英語の文献を読むだけの人で、それだけに英語メディアが右傾化
したりすると、一緒にわけが分からなくなってゆく。
チェチェンに関しても、
チェチェンの独立派はアルカイダと繋がっている」と宣言していた
木村太郎のデンパにばっちり共鳴していたようだ。

学者先生でけっしてメディアに媚びず、デンパも振り撒かない人としては、
やはり江畑謙介氏を全力応援したい。