アンマンにて

19日の続きから。
成田空港でフォトジャーナリストの渡部陽一くんと落ち合った。
彼は偶然、私と同じアエロフロートの便でアンマン経由でイラクへ向かう。
私の3倍ぐらい、荷物を抱えているが、彼の滞在はおよそ一週間だそうだ。
私と違って、効率的に日本とイラク、そしてほかの取材地を
短期間ごとに行ったり来たりしているらしい。

フライトは10時間。
いつの間にか、傷めた肋骨も痛まなくなっているし、
すっかり風邪も治った。
かつてないほど、快調な出発かも。

モスクワでの乗り継ぎの待ち時間は20時間。
空港のフロアに、渡部くんと寝袋だの毛布だの広げて、
浮浪者のように過ごした。
7千円だとか9千円だとかするのに、ろくな食事も出さず、
幽閉状態になるモスクワのトランジットホテルには、
私も渡部くんもはなっから泊まる気がない。
電気のコンセントのある場所を確保して、
寝転んでパソコンのメディアプレーヤーでポップスをかけながら
雑談していたら、20時間があと3日でも構わないというほど快適だった。
20日の朝、新潮社のギャルギャルT編集者が
我がスラーヤ衛星携帯電話に電話を下さった。
「用事はないんですけど」とおっしゃったが、これは原稿催促の電話だ。
うまいことにちょうどそのとき、空港の床に寝っ転がったまま、
原稿の書き直しが終わろうとしているところだった。

モスクワ・アンマンのフライトはアエロフロートとのコードシェア便
ロイヤル・ジョルダン航空が結んでいる。
アエロフロートよりも小さな機体だというのに、
シートがずっとゆったりとして、機内食も美味しかった。
4時間のフライトが短く感じる。

アンマンのクイーン・アリア空港からタクシーでダウンタウン
クリフホテルへ。
ホテルのアンマルさんに頼んで、
21日午前3時発のバグダッド行きタクシーを予約してもらう。
夕食は歩いて一分のバグダッド・レストランでクズィという羊肉の煮込み。
実に美味しかった。
あと2時間少しでバグダッド行きの車が出る。

ここまで書くと、旅は順調で楽しんでいるかのようだが、
実は成田空港からずっと、私は重いホームシックに罹っている。
いくら旅行が快適でも、我が家のギャルギャルライフの
ハッピーさには遠くかなわない。
おうちへ帰りたいよう〜!(泣)