彷徨える運命

午後1時半、ありーさを六本木のイラン料理店アラジンに連れてゆく。
ママラディン村上和巳もやって来た。
ママラディンとありーさは今年の5月、ほぼ同じ時期にバグダッドにいた。
が、すれ違いで現地では会っていない。
午後3時過ぎまで話した後、ありーさは羽田に向かった。
私はまっすぐ床爪荘へ。
これほどやることがない日はずいぶん久し振りだ。
しばらくダラダラしていたら、大家の床爪さんがやってきた。
「12月までに立ち退いて欲しい」
なんだか、ショックな言葉のはずなのに、実感が湧かない。
消防署からのお達しで、床爪荘を取り壊すことになったのだそうだ。
部屋を探さなければならない。
床爪荘は風呂も付いてないのに4万円もして、
いい条件の部屋とは言いがたかった。
それでも、「床爪荘」というこの名前が気に入って、
上京以来4年間も住み続けてきたのだ。
部屋を追い立てられることを考えると、無性に淋しい気分になってきた。