「空爆の日に会いましょう」

正午、某国エージェントと謀議。

空爆の日に会いましょう」(小林エリカ・著/マガジンハウス)読了。
(参照→ http://www.homesickless.org/
これは重要なヒントだと思う。

ここからは一昨日の日記の続き。
ただし、内容が独立しているので、「その2」とは書かない。

エリカ氏はニューヨークとアフガニスタンで起こった出来事に、
何とか自分を結び付けようと試みる。
その結果、彼女が選んだのは「戦争するなら、セックスしない」
という選択だ。
そこにアリストファネスの「女の平和」や、
ジョン・レノンオノ・ヨーコの「Love&Peace」が
モチーフとしてあったかどうかは知らない。
セックスと戦争は密接に関わっている。
もっと正確には、セックスは平和と関わっている。
いいセックスをしている人たちの心には必ず平和があり、
気持ちのいいセックスができない環境で
私たちの心は戦争状態になってゆく。
それは間違いがないが、私にはそのメカニズムを説明できない。
エリカ氏自身、そこに気がついているのかいないのか分からないが、
とにかく、彼女は直感的に、空爆の度に自らが爆弾となって、
男たちの下へ投下され、そこで「一緒に泊まって、セックスをしない」
ということで、心の中に小さな戦争を作り出し、
現実世界の戦争から何かを心に留めようとする。

私は海外の戦場から伝えるものが、日本の人たちの心に
まるで届かないことに焦り、長期の取材から帰る度に、
帰国便の機内でまず憂鬱になり、帰国後の床爪荘で途方に暮れる。
なんとか、戦場のできごとと、
私たちの日常を結びつけることができないかと考えて、
こんなウェブサイトを始めた。
私は毎日四六時中、戦争のことばかり考えているが、
それでも現地の人たちと違って帰る場所を持っていて、
帰ったら女の子のことの方が自分にとって大事だったりする。
私にとって戦場はそのまま、日常の些事と連続していて、
それを含めてダラダラと伝えることで、
なにか見えて来ないかと勝手に期待している。

一方エリカ氏は東京にいて、911のニューヨークや
アフガニスタンでの出来事が、自分にとってまるで関係がないという事実に
戸惑ったのだろう。
彼女は戦場から何かを自分のところに持ってくるのではなく、
自分の生活を強制的に、ニューヨークやアフガニスタン
関連付けてしまった。

コペルニクス的転回というやつだ。

やはり、これは大きなヒントだ。