ふにゃふにゃ

雨に降られたので、バイクを捨てて、電車で帰宅。
さっそく、ネットで『母娘監禁 牝〈めす〉』のDVDを注文する。
すごい作品らしい。
早く見たくてしょうがない。
書籍の著者プロフィールの写真は、
教育ママみたいなさんかくなメガネをかけて、
なんだかアルプスの少女ハイジに出てくる
ロッテンマイヤーさんのイメージでおっかなかった。
実物はぜんぜんそうではなかった。
ウェブサイトと著書で知った前川麻子氏は、おそろしく回転の速い頭脳と、
鋭すぎる天賦の感性、人生に降りかかる何事にも動じない肝っ玉、
表現者としての自分に対する厳しい姿勢を備えた
触れれば切れそうな烈女だった。
私は、もっと大柄な、近づきがたい、
鋭く厳しい目をした人を想像していた。
ところが実物は、小さくて、やさしくて、
触れただけで壊れてしまいそうな、まるで少女だ。
この小さな頭蓋骨の中に、あの偉大な芸術家の人格が
封じ込められているというのが、信じがたかった。
ロジックだけで理解しつつあった彼女について、
私は初めて、体温を持ったキャラクターとしての魅力を理解し始めた。
何もかもを、自分の恋愛をさえも表現にしてしまう
壮絶にさえ見える芸術家としての側面は、
実は彼女の異常なまでの率直さと正直さ、無防備の裏返しだ。
無防備はしかし、自らの発するオーラをフィルターなしで相手に放射する。
彼女にとって芝居と芝居でない生活の違いはない。
そこがたぶん、彼女が女優として偉大な点だ。
つまり、いかに無粋な私でも、前川麻子が最高にいい女であることは
理解できるのだ。

理屈をこねる必要なんか本当はない。
そんなことわざわざ説明しなくても、
それ以前に、私はもっかどこから見てもふにゃふにゃ〜・・・