ソンタグ

スーザン・ソンタグ浅田彰らのシンポジウムをインターネット中継で聞いた。
本当は自分の足で会場に出向いて聞くはずだったが、そこはそれ、
私は引き籠もりであるからによって、自宅で聞くことにしたのだ。
ソンタグは「『人道的介入』ではない。もしいうなら『正義の』介入だ」
「広島・長崎は市民殺傷が目的だったから許されないが、
コソボアフガニスタン空爆は目的が正しかったので認めるべきだ」
などといってた。
吐き気を及ぼす独善性だ。
一方、浅田彰磯崎新は、そんなソンタグの論理には一言も異論を挟まず、
WTCの廃墟にどんな記念碑を建てるかといった、
まるでキリングフィールドで石ころが壊れたと騒ぐような議論をしていた。
退屈になって、Sabra4月25日号(小学館)の
小林よしのりと大高美貴の対談を読み出した。
こちらの方が少なくとも、ソンタグのような欺瞞には陥っていない。

小林「イスラエルもテロによって建国された」
大高「それはやむにやまれぬものだった。
 現在のパレスチナゲリラにとっても同じ」
小林「法律に外れた暴力をテロというのだったら、
 アメリカの戦争のやり方こそテロだよ」

小林よしのりなんて、思想の深みも実体験に即した重みもないが、
サラエボに二年暮らしてもドメスティックな思考から逃れられないソンタグより
幾分客観性がありそうに見える。
本当はこと日本の問題となると小林ほど偏狭でドメスティックなヒステリー男も
ないのだが、ことは米国やアフガニスタンが小林にとってよそ事、
ソンタグにとってうちわごと、という違いなのだろう。

そういえば、国家の戦争のために我が身の犠牲を覚悟せよという小林の主張は
PLAYBOYノーマン・メイラーの主張とそっくり同じで笑わせてくれる。

メイラーとソンタグでアタマの中身を競って対談させてみてはどうだろう?