家出終了

家出から帰ってきた。
現地からこの日記を更新するつもりであったが、
日記のことなんか思い出す間もなく
この4日間を過ごしていた。
いやはや、なにから綴るべきか?
まず、山羊の刺し身は美味かった。
このようにまろやかな味とは思いもよらなかった。
一方、山羊汁は刺し身と同じ肉とは思えないほど強烈な癖がある。
私にとっては、疲れている時や非常に腹が減っている時は
たまらない芳香だが、
慣れない人には苦手であろう。
今回、ダチョウのタタキも味わってみたが、
こちらは少々生臭かった。
脂分のほとんどない淡白な赤身の肉なのに生臭いのは不思議だ。
唐辛子で匂い消しをすると味わえる。
グルクンという一種の熱帯魚の唐揚げも味わった。
からりと良く揚がっていて、頭からばりばりとかじれるのが嬉しい。
熱帯魚とは不味いものだと思っていた私の偏見を改めてくれた。
あばさー汁とは、ハリセンボンというふぐの一種の味噌仕立てである。
ふぐ同様、白身魚にしてはこくがある、
ぷりぷりとした肉の食感だが、ふぐほど固くない。
汁には甘みがある。
ウベというイモの一種はこれまで食べたことがなかった。
頭の中にイメージも湧かない。
それを今回、アイスクリームで食べた。
不思議な香りと食感であった。
うっすらと赤いアイスクリームの色は
紅芋に似ている。
が、紅芋が普通のサツマイモとの違いが小さいのに対して
ウベはこれまでに食べたことがない。
ちなみに、鹿児島特産の紫芋のアイスクリームも試した。
やはり、サツマイモの味であった。
アイスクリームでなく、芋そのものを食べてみれば
違いが分かるのかもしれない。
悔やまれることもある。
いらぶー汁を食べなかったことだ。
いらぶーとは海蛇の一種で、強い毒を持っている。
まちぐゎー(市場)には干されて真っ黒になったいらぶーが
とぐろを巻いてぶら下がっている。
そのあまりのグロテスクさに、
私はこれを食べてみる勇気を出せなかった。
それまでに生のダチョウや山羊汁など、
生臭い食べ物を多く口にしていたので、
私の想像上のいらぶー汁は
それらを遥かに上回る生臭ものの王者であったのだ。
しかし、それは間違いだったようで、
あとで調べてみたところ、いらぶー汁は高級な薬膳料理で、
鰹だしに似たあっさりとした味だそうだ。
次に機会があったら必ずいらぶー汁を食べてみようと思う。
とにかく、このように沖縄文化は奥が深いのである。