賢いかアホかの問題

たとえば、タリバンの中にも教養人はいて、欧米の知識人と対等に話ができるのがいる。具体的には英語の著書もあるアブドルサラーム・ザイーフ師あたりだ。彼はイスラム法学の知識も、欧米の常識も理解した上で、それでもタリバンの主張の優位を多くのメディア相手に説得する力がある。

※わたしが彼の主張に同意するわけではない。むしろ、同意点は皆無に近い。

 

こうした人たちは、米国務省のホルブルック代表が主張したタリバンとの和解論を逃さず、カタールを拠点に交渉を重ねて、米軍完全撤退を実現してしまった。

一方、自爆や無差別攻撃や残虐な見せしめを繰り返していれば、自分たちの目的が実現できるだろうと思い込んでいる単純で幼稚なイスラム過激派はいっぱいいて、現場でみる限りこちらが大半だ。

権力の座に就いたタリバンも、中身は大半がそういう人たちだったらしく、今まさににっちにもさっちにもゆかなくなっている。

 

それでも、イスラム過激派組織の中でタリバンは例外的な部類といってよく、ISやアルカーイダに、そういう人材は皆無だった。

※他の例外にチェチェン独立派がいるが、彼らはそもそも「イスラム過激派」に分類することに無理がある。彼らはポーランドの「連帯」など、東欧のビロード革命を起こしたグループと同じカテゴリに分類すべきだ。だから、はじめから欧米型教養人・知識人がいて当然である。そして、タリバンと根本的に異なって、彼らの中にはイスラム法学の専門家は皆無に近かった。

 

おおざっぱにいってしまうと、アルカーイダもISも、アホだから突然派手な活動を繰り広げ一瞬脚光を浴びたが、アホだから今や弱体化してしまっただけだ。

 

これは、ネトウヨだとか、QANON信者だとか、安倍晋三支持者だとか、トランプ支持者だとかと基本的に同じだと思う。

彼らの心情や信条、思想を分析、考察しても大きな意味はない。合理性を欠いているから。アホがなぜアホな行動を取るのか?なぜならば、アホだから。それで終わりだ。

 

日本の混迷が20年間も続いているのは、アホ支持者のアホやそれに類するアホがあまりにも多く、アホ支配から脱することができていないからだ。これはアフガニスタンをみると相似点が多い。